遺伝カウンセリングコースで学ぶのに必要なお金は?

こんにちは🌸

もう早いもので3月ですね...。来月には1年生が入ってきて先輩になる(!)
のですがあまり実感が湧いていません。

このブログはというと、周産期関連以外も記事作成をしているのですが

なかなかまとめるのが難しく書きかけの下書きばかりが増えていきます💦

丁度いい長さで伝えたい事を書くのにもスキルが要りますね!頑張ろう!🔥

 

 

今回は自分が入学して1年経とうとしているので入学する前に知りたかったことの1つ、おカネ💰について公開します。

特に自分は学部を卒業してすぐに入学したので貯蓄もなく、入学する前はもちろん、入学してからもお金のことは常に不安を感じていました😢

受験生やこれから入学する方に参考にしていただけたら幸いです。

 

では早速、2020年4月~2021年3月(※1)のおおまかな出費です↓

項目 内容など 実費
学費 年に2回納入(授業料、施設費) ¥535,800
学会・セミナー※2 学会入会費、学会・セミナー参加費 ¥131,660
交通費 回数券、定期券代 ¥73,188
実習関連 抗体価検査、ワクチン接種、外部実習費 ¥41,730
書籍 一部中古品あり ¥25,466
その他 学用品、オンライン授業対応、生協加入 ¥44,081
合計   ¥851,925


 ※1 4月以前に購入した書籍代や、3月中にお支払いする可能性のある外部実習費を含んでいます。

※2 認定遺伝カウンセラーの資格試験受験要件に「受験申請時に、日本遺伝カウンセリング学会もしくは日本人類遺伝学会の会員歴が2年以上継続していることが必要」という条件があります。

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これを見た感想:セミナー復習しないともったいない😱😨

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ここまで赤裸々に公開してもよいのか...とも思いましたが、これが事実ですので包み隠さず掲載しました。

 

もちろん大学院によって違いはあるとは思いますが、特に今年はコロナの影響で全ての学会&セミナーがオンラインでの開催であり今までの先輩方とは大きく異なっていたのかな、と思います。

というのもコロナ禍でなければ開催地に行き(交通費)、滞在する(宿泊費)というのにさらに費用が掛かるからです。

ただし、今年参加できたすべての大会やセミナーに行くのは現実的に難しかったと思うので、単純に加算されるという訳でもないと思います。

 

私はもちろん貯蓄だけでは賄えないので奨学金を借りています。

それでも学会シーズンは正直かなり厳しいです...(号泣)

この年次集計を見て、月に1万円ずつ学会セミナー費用の為の積み立てをしようと心に決めました😅

 

すこしはお役に立てましたでしょうか?

たしかに費用の面ではかなりシビアな所はありますが、この1年を振り返ると

学びたかったことが学べたり、遺伝カウンセリングにはこんな素敵な側面があるんだ!ということが知れたりと去年の私が想像もつかなかった経験ができて充実した毎日を過ごせています

 

もしこのブログを見つけてくださって、もっと他にも聞いてみたいという方がいたらお声がけくださいね。私に答えられるで範囲でお力になりたいと思います。

 

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3月3日は桃の節句です♪

緊急事態宣言もそろそろ解除?されそうですね。

明日からもがんばるぞー!

交流会に参加しました

こんにちは🌸

冬が苦手な私は春の訪れにわくわくしています。

 

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河津桜が咲いていました

先日、全国の2020年度入学の遺伝カウンセリングコースの皆さんと

はじめてZoom上で交流させていただきました。

コロナ禍で無ければ学会後の懇親会などでお会いできたのですが、2月になって、やっとですね。

主催していただいた大学の皆さんには頭が上がりません。

 

それぞれ皆さんイレギュラーな状況の中で奮闘しているようで

不安なのは自分たちだけではないんだ、と勇気づけられました。

遺伝カウンセラーは一人職場も多いようなので、困った時にはお互い協力しあえるような良い関係が構築できたら良いな、と思います。

 

あまり話した内容に踏み込むのも憚られるので薄い感想になってしまいましたが、今回はここまでにします🧬

 

 

クローズアップ現代+「広がる出生前検査 その課題は?」を視聴して

こんにちは🌸

三寒四温の時期ですね。(と書こうとしたら元々は冬の気候を表す言葉なんですね...知りませんでした。)

先日タイトルの通りですがクローズアップ現代+で「広がる出生前検査 その課題は?」を視聴しました。

(本当は見た翌日にブログを書いていたのですが、公開が遅くなりました。今回もすこーし長めです💦)

www.nhk.jp

 

「出生前検査」といえども、広い意味では妊婦健診で診るエコーもこれに当てはまるわけですが、もちろん今回フォーカスされていたのは

お母さんの血液だけで、赤ちゃんの染色体の変化の有無を見るNIPT(通称、新型出生前検査)です。

この検査は採血だけで出来るうえに、従来の方法と比べて精度がかなり高いことから「命の選別につながりかねる」のではないかと世間から問題視されてきました。

 

生まれる前の赤ちゃんの染色体の病気を検査できる出生前検査をする前にはご両親に遺伝カウンセリングに来ていただくことになっています。

というのも、検査を受けてしまってから、やっぱり受けなきゃよかったなあ...

となっても時は戻せませんよね?

 

検査だけ用意して、

「受けたかったらご自由にどうぞ。結果はこうですね。どうするかはあなたが決めることです。」

と言われたらどうしましょう??

たしかに自分で決めることだとは思うけど...🤔

と困ってしまうと思います。

 

そうならないように、私たち遺伝カウンセラーはご両親のために、

検査前の遺伝カウンセリングでは

検査や病気についてやどんなことを考えないといけないのか...などの情報を提供したり

結果が返ってきた後にも

今後の方針をどうするかという決定ができるよう

情報や考えを整理するお手伝いをします。

 

 ただそういうお手伝いができるのは、遺伝カウンセリング中の1時間だけなんですよね...。もちろん決められた時間の中で出来る限りサポートはしますが、最初から最後まではなかなか現実的ではありません。😓

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この番組では

オンライン上で、これから病気や障がいと携わる方や、すでに携わっている方同士が繋がれる「ゆりかご」というサービスが紹介されていました。

たとえば出生前検査で、赤ちゃんが障がいを持つ可能性が高いということが分かったときに

「同じような経験をした先輩ママ(パパ)はどうしたんだろう?」

「この病気を持った方はどうやって暮らしているんだろう?どんなことに困るんだろう?」

といったリアルな声を聞いてみたいと思うかもしれません。

また、今まさに自分と同じような経験をしている仲間と気持ちを分かち合いたいと思うかもしれません。

 

ここで相談者のサポートをするのがサポーターと呼ばれる方々です(サポーターも相談者として相談することもできるようです)。

Q. どんな方が「サポーター」になっているの?

  • 病気や障がいを持つご本人
  • 病気や障がいを持つお子さんを育てているご両親やご兄弟の方
  • 病気や障がいを持つお子さんを亡くされた方
  • 病気や障がいを理由に人工妊娠中絶をされた方
  • 病気や障がいを関わる医療関係者    等

病気を診断したり治療したりする専門家は医療者ですが、病児の子育てについては家族に聞くのが一番と考えています。

また、出生前診断後につながりたいのは、現在子育てをされている家族だけではありません。 悩んだ末に中絶をされた方、出産しお看取りをされた方など、様々な形で病気や障がいと関わる方と出会える仕組みです。

https://yurikago.fab-support.com/about

 ゆりかごのウェブサイトから引用させていただきました。

赤字にしたところにもありますが、現在子育てされている方のみならず、他の形でも病気や障がいと関わっている方と出会えるというのは、なるほどなぁと思いました。

 

番組内のサポーターの方が

『産む選択をした人も、しなかった人も選んだ結果に違いがあるだけで、似た状況で悩んでお互いに頑張った仲間』 といってもらえて救われた

とお話していて、これは当事者同士だからこそ支えられる部分もあるのかもしれないと考えさせられました。

中絶を経験した方、流産・死産を経験した方の中にも、長い間こころに傷を抱えたまま苦しんでいる方がいるというのも改めて実感しました)

 

ただ、あくまでリアルな声ではあっても、それぞれ状況は違います。

個人的な意見としては

様々な意見を聞くことは自分がどうしたいかを考えるうえで役に立つとは思うのですが、ある一部の意見に強く影響されてしまうのは心配だな、とも思います。

こういったサポートもありますよ、と医療者として紹介するのは正解なのでしょうか?

 

胎児緩和ケアとは

こんにちは🌸

前の記事でも書きましたが、
以前は、赤ちゃんに完全に治癒する見込みのない病気があると分かった場合は妊娠を諦めるか、新生児集中治療室にて治療を行うかの2択でした。

しかし
2008年に船戸先生によって「胎児緩和ケア」という概念が紹介され、
現在、赤ちゃんへの最善の医療を決定するうえで、

この情報もご両親に提供されています。
 
胎児緩和ケアとはどのようなケアなのでしょうか。


本文の中では

身体的・精神的・社会的・スピリチュアルを抱合したケアのための積極的・包括的アプローチである。すなわち胎児・新生児のQOLの向上と家族の支援に焦点を当て、不快な症状のコントロール、家族の慰安と死別の準備、死のプロセスと悲嘆への支援も含めるケア概念である。

とされています。
 
私の勝手なイメージなのですが、「緩和ケア」というと積極的な治療(少しでも延命できるように何らかの対処をする、など)の反対の立場にあるものだと思っていました。
しかし、この定義の1行目を読むと、そうではなく、
「身体的・精神的・社会的・スピリチュアルを抱合したケア」を考えたときに、最善と考えられることを積極的に行うケアのことを指すようです。
 


具体的には次のような支援が行われます。

例えば、緩和ケアプログラムの計画として、
気管に管を挿すか、心臓マッサージをするかといったような蘇生処置の可否
吸引をしたり、痛みを和らげる薬を投与したりといった医学的介入の有無に関することを
事前にチェックリストとして作成し、両親の希望を聞くようにしているそうです。
そうすることで「不快な症状のコントロール」をどのような計画で行っていくか医療者側と両親側が納得して意志を決定できます。

また、「家族の慰安と死別の準備」として本文の中は、このような例が挙げられていました。

  • 新生児の乾燥と保温
  • 温かいブランケットの供給
  • 帽子の供給
  • 母児同室を勧める.
  • 医学的に安全な行為の場合,母親の参与制限を最小限にする.
  • 必要なら照度を下げる.
  • 仕事の妨げでない限り,両親およびその他の家族の付添いをできるだけ多く許可する.
  • 兄弟姉妹が安心できるようにする.新生児のために手紙を書いたり絵を書いたりすることを望むかもしれない.
  • 適応があれば悲嘆の準備や思い出形成を行う.例えば手足のプリント,写真,ビデオ,毛髪など共有行為を推奨する.
  • 新生児をお風呂に入れたり,服を着替えさしたり,可能であれば哺乳したり,オムツを替えたりすることで親子結合や相互作用を推奨する.
  • 新生児を外に連れ出し,平和で自然な環境で過ごせるよう推奨する.

          参考文献 表3 慰安(コンフォート)ケア(全新生児対象)より

そして、病院で亡くなった場合や家に帰った場合など、赤ちゃんの最期をどのように迎えるかについてもケアプログラムに含まれ、計画されます。
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だんだんイメージがついてきたでしょうか?

この胎児緩和ケアの目標は「赤ちゃんとその家族の最善のQOL(いのちの輝き)」を支援することです。
ですから、それぞれの赤ちゃんやご家族にとって何が最適であるかは異なってくると思います。家族の中や医療者とのコミュニケーションが不可欠でしょう。
 
イギリスの調査では、

出生する前に赤ちゃんの致死的な病気が診断されたあとに、こうした胎児緩和ケアの選択を提示することで20例中8例(40%)が人工流産に代わって妊娠の継続と緩和ケアを選択した、という報告があります。
 


この胎児緩和ケアの概念の導入により、
「赤ちゃんがお腹にいる時間が母親にとっても赤ちゃんを最も愛し慈しめる時間であり、生前診断後の時間が両親にとって絶望的な忌むべき時間ではなく、胎児との残された大切な時間に変化する可能性がある。」
と船戸先生は述べています。
 


もちろん、穏やかな時間と同等、またはそれ以上に両親の精神的負担は否めません。
また、デメリットとしては
同様に赤ちゃんの死を選択する人工妊娠中絶と比較すると、出産よりも中絶のほうが母体へのリスクが少ないことや、赤ちゃんの生命力に任せているうちに母体内で死亡してしまう可能性もあります。
 
また一方で、両親の考えがのちのち変わり、出生後の蘇生や治療を希望すれば、児を救命することもできるというメリットもあります。
(例えば、実際に18トリソミー患者会に入られている方から
「当初は緩和ケアを希望していたが、娘が頑張る姿を見ているうちに積極的な治療を希望するようになった」という声が寄せてられていたのを目にしたことがあります。)
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今回は「胎児緩和ケア」について勉強しました。
家族が赤ちゃんを抱っこしたり、家族と共に過ごす時間をとったり、家族が可能なケアをすることで、赤ちゃんの尊厳を守ることを土台にした「胎児緩和ケア」
という選択肢を知ってもらうことが、両親の納得した決定につながれば、と考えています。

 

ただし!

両親がどんな選択をしたとしても、医療者側はそれを尊重し中立的に対応すべきです。

その姿勢を忘れずに支援を行えるよう、今後も精進します🌼

 

参考文献

  • 船戸正久・玉井普・和田浩・池上等,2008,「胎児緩和ケア(fetal palliative care)の紹介」『日本周産期・新生児医学会雑誌』44(4): 920-924.
  • 櫻井浩子.“妊娠22週児の出生をめぐる倫理的問題──新生児医療からのアプローチ”.立命館大学生存学研究所. 2009年12月04日

生まれる前の赤ちゃんの検査のおはなし

こんにちは🌸

突然ですが

赤ちゃんが生まれる前に染色体の病気が調べられる検査(出生前診断の1つであるNIPTという検査を耳にしたことはありますか?(正式な名称ではないのですが、新型出生前診断、と呼ばれることもあります。)

 

染色体というと少し難しいかもしれませんね。

私たちを形作る設計図は「遺伝子」に格納されていて、細胞1つ1つに染色体という形で存在しています。

生まれながらの病気の原因は様々ですが、病気をもって生まれる赤ちゃんの4人に1人が、染色体の変化が原因であると言われています。

 

このNIPT自体は少し前に話題になった検査なので聞いたことがある方もいるのかもしれません。

 

NIPTで分かるのは、お腹の中の赤ちゃんが21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーという染色体の変化がもたらす病気について、その病気を持っている可能性があるかどうかということです。

 

「トリソミー」というと聞きなれない表現かもしれませんが、

実は「21トリソミー」は「ダウン症候群」の別の呼び方です。

 

ダウン症候群を持っている方を日常生活の中で見かけたことがあるというのは珍しいことではないと思います。

しかし「18トリソミー」や「13トリソミー」を持った方を見たことがある、という方は珍しいのではないでしょうか?

 

というのも、これらの病気の赤ちゃんは未熟な状態で出生し、

生まれた後も気管に管を入れて人工的に呼吸の補助を行う、などの病院の中で医学的な管理が必要となる場合がほとんどだからです。

 

言い換えればダウン症候群は社会の中で共生している病気である一方で、

18トリソミーや13トリソミーは病院で過ごす時間が多い、という理由から社会ではあまり知られていないということですね。

 

 

厳しいお話になりますが

18トリソミー」と診断された赤ちゃんの半分くらいは生まれてくることができず、

この世に生を受けることができた「18トリソミー」や「13トリソミー」を持った赤ちゃんも、その内90%は1歳のお誕生日を迎えることが難しいと言われています。

 

 

 

そんな厳しいことを聞かされると、

「一生懸命生まれてきても、病院の中で管に繋がれたまま過ごすなんてかわいそうだ…。

それなら生まれてこない方がこの子の為にも良いのではないか…。」

と思うお母さんやお父さんがいることは不思議ではないのかな、と思います。

 

 

実際のところ、従来、出生前診断の後は

「人工妊娠中絶」か「そのまま妊娠を継続し、出生後に新生児集中治療室にて治療を行う」か

の二者択一でした。

しかし現在は、胎児治療と胎児緩和ケアという選択肢が加わっています。

 

今の日本の法律では妊娠22週より前までに妊娠を中断するか、継続をするかを決断しなければなりません

でも、出生前診断の確定診断がつくのが22週ぎりぎり…という状況も少なくはないのが現実です。

短い時間の中で、ご両親は大変おおきな決断を迫られるわけです。

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恥ずかしながら、つい最近まで私は「胎児緩和ケア」という選択肢がある事を知りませんでした。

なので、もしかしたらお父さんお母さんの中にも、こういった方針もあるよ、ということを知ることが判断の一助になることがあるかもしれないと思いました。

次は「胎児緩和ケア」というのはどういうものなのか書いてみます!

 

 

間違っていることがあったらご指摘いただけますと幸いです🌷

 

 

最初の記事

私は遺伝カウンセリングを勉強しているのですが

この世界に足を踏み入れてから

遺伝カウンセラーとしてはもちろん、人としてもまだまだ未熟だと痛感しています。

でも、これは悪いことではなくて、これから色々な人と出会ったり、経験したりして自分なりの哲学ができて、ぶれなくなっていくのだと思います。

(偉そうなことを言いましたが先生の受け売りです😉)

 

いつか、後で見返した時に、あの時の経験が今に繋がっていると思えるように

日々の勉強の中で、これは残しておきたいな!と思ったり、他の人にも知ってほしいな!ということを、こっそり書くブログにしたいです。

よろしくお願いします。